☕ 喫茶ムニャ堂 小噺 (「知性を扱うなら、まず測らなあかん」読後)
👓【マスター】
……言語の前の層、か。
なかなか厄介なところに手を伸ばしたのぅ。
🐹【クン蔵】
せやねん。
言葉は残せるやろ?
でも身体とか情動は、
気づいた頃にはもう次に流れとる。
👓【マスター】
水みたいなもんじゃな。
すくおうとした瞬間、
形が変わる。
🐹【クン蔵】
せやから思ったんや。
扱うなら、
まず測らなあかんのちゃうかって。
👓【マスター】
科学はだいたいそこから始まる。
温度も、圧力も、電流も。
測れた瞬間、
世界は触れるようになる。
🐹【クン蔵】
でもな、
情動を測ろうとすると、
また0と1の話に戻ってまう。
👓【マスター】
離散に刻んだ瞬間、
連続は姿を変える。
🐹【クン蔵】
せやろ?
身体の揺れとか、
なんか“波”みたいな感じするんやけどな。
👓【マスター】
ほう。
言葉になる前の波形、か。
🐹【クン蔵】
まだ仮説やで。
ムニャトコルいう名前つけてみただけや。
👓【マスター】
名前は入口じゃ。
答えではない。
🐹【クン蔵】
せやな。
まだ、測り方も分かっとらん。
👓【マスター】
それで十分じゃ。
測ろうとする瞬間、
世界は一歩だけ
姿を変える。
🐹【クン蔵】
……ほな、
ワイらは今、
入口の前に立っとるだけか。
👓【マスター】
ふぉふぉふぉ。
入口に立つ者は、
もう中を覗いとるようなもんじゃ。
(珈琲の湯気が、
言葉になる前の波のように、
ゆっくり揺れていた。)

